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【映画】モンパルナスの灯
モンパルナスの灯
Les amants de Montparnasse
（1958年公開、フランス）
監督・脚本：ジャック・ベッケル
【キャスト】
ジェラール・フィリップ：モディリアーニ
アヌーク・エーメ：ジャンヌ・エビュテルヌ
ジェラール・セティ：画商ズボロフスキー
リリー・パルマー：ベアトリス
リノ・ヴァンチュラ：画商モレル
ジャックベッケル監督によるフランスの画家、アマデオ・モディリアニの半生を描いた「モンパルナスの灯」。
私はモディリアニの作品が好きなこともあり、この映画を一時期何度も繰り返して見ました。
主演は甘いマスクが特徴のフランスのイケメン俳優「ジュラール・フィリップ」彼は５０年代フランスを代表する俳優であり、フランスのジェームズ・ディーンともいわれ「夜ごとの美女」や「肉体の悪魔」などにも出演しています。
また、この映画には私が往年の世界三大美人女優と考えるひとりアヌーク・エーメがモディリアニに恋人役で出演しています。
ちなみに三大女優の後の二人は、アメリカのエヴァ・ガードナーと先日亡くなった日本の原節子です。
アヌーク・エーメはその後、フランソワ・ルイのテーマ曲で有名な「男と女」にも出演し印象深かったので往年の映画ファンの方は覚えている方も多いでしょう。
ところで、当店の屋号「アヌーク」もこの女優の名前から拝借しています。
ストーリーを以下にご紹介しましょう。
一九一〇年代のパリ・モンパルナス。
貧窮の身を酒にまぎらせるモディリアニ（ジェラール・フィリップ）の、孤独と病苦にさいなまれた姿がそこにはあった。
同じアパートに住む画商スボロウスキー（ジェラール・セティ）はモジの才能を認めていて、出来る限りの手助けをしていた。
ある日、モジリアニは画塾の生徒で、清純なジャンヌ・エビュテルヌ（アヌーク・エーメ）と恋に落ちる。
二人の心は結ばれ、彼女は家族を捨ててモジリアニのもとにくることを誓った。しかし、官吏の父はそれを許してくれはしなかった。傷心のモジリアニは、再び失意を酒におぼれさせる。極度の健康悪化におちいった身を、ロザリーの店のベッドに横たえるモジリアニを、スボロウスキーは南仏のニースに転地させた。輝く太陽と青い海のあるニース。そして、恋しいジャンヌの突然の出現。小康を得たモジリアニの、愛の生活と、平和な制作活動がはじまった。
その後、二人はパリに戻り、女パトロン、ベルト・ウェイルとスボロウスキーの尽力で個展を開くが警察に作品をわいせつ物だと難癖をつけられるなど絵は売れず個展は不評に終わる。
そんな中、彼の絵を商業ポスターの図案に使おうとしたアメリカの富豪がいたが、自分の作品を商業的に使われたくない彼はその話を断ってしまう。
仕事に対する自信を失い、空腹と絶望にさいなまれたモジリアニは、妻との生活の糧を得るために、デッサンをもって街の酒場をさまよい、客席を渡り歩くが、誰も絵を買ってくれない。情の深い女性が絵は要らないかこのお金を受け取りなさいと物乞いと間違えられる始末。
その後、モジは街で倒れ、警察病院で行路病者として死んだ。
モジリアニの才能が、死後はじめて世に知られるであろうことを予測していた画商モレル（リノ・ヴァンチュラ）は、秘かに彼の死を見とどけると、何も知らぬジャンヌが残っている彼の部屋を訪れた。今は遺作となったモジリアニの数々の作品を、片はしから買いとろうとするモレルを前にジャンヌの目は泪にぬれていた。「彼はどんなに喜ぶでしょう……本当に長い間、あの人は認められなかったのですから……」と。
映画はそこで終わるがいくつかのシーンが心に残っています。
一つはモジが「何故そんなに酒を飲むのか？」と聞かれた際に、ゴッホの台詞を引用し「ゴッホは去年みた黄色を思い出すために俺は酒を飲んでいるんだ」と答えたということを説明しています。多くの芸術家はインスピレーションを得るために酒や麻薬を常用します。１９５０〜６０年代にモダンジャズを作って行ったジャズマン達もそのほとんどが麻薬に浸っていたといいます。
村上春樹さんがいいジャズというのは技術が高いだけではダメで、ある種の「狂気」が感じられるものだというようなことを書いていましたが絵にも同じことがいえるのでしょうか。
画家達は狂気を得るために酒や麻薬に手をだし、身を削って後世に伝わる作品を作り出して行く…そういった作品を我々凡人が鑑賞し、凡人には作り出せない世界へ引き込まれていくのでしょう。
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